歯科訪問診療4・5の改定で狙われる診察と20分【令和8年度】
三輪 俊太歯科医師公開 2026.10.08
この記事で分かること
歯科訪問診療4・5の施設基準は、今はまだ甘く、普段の診療で満たしていけます。ただし令和8年度の改定は、長期的に見て、歯科訪問診療4・5は削っていき、歯科訪問診療1は充足させていく改定です。
この記事では、歯科訪問診療4・5で何が狙われているのかと、これからの診察と歯科衛生士の訪問の組み方を、告示と通知に沿ってまとめていきます。
- 歯科訪問診療1は20分未満でも1,100点。歯科訪問診療4・5は、注7の施設基準を満たさないと100分の50
- 注7の施設基準は届出が要らない
- 診察を1〜2分だけして歯科衛生士の算定を重ねるやり方は、やめるよう求められている
- 診察は、管理するための診察で20分を満たす
- 歯科衛生士を単独で行かせるべき時は、単独で行かせる
歯科訪問診療料の点数と注7の施設基準
歯科訪問診療料は、同じ建物で同じ日に診た人数で5段階に分かれます。20分未満の点数が定められているのは歯科訪問診療2〜5で、歯科訪問診療1は20分未満でも1,100点です(告示C000注6・通知C000(1))。ただし20分未満のときは、注15の在宅療養支援歯科診療所加算と注18の歯科訪問診療移行加算は算定できません(通知C000(1))。
| 区分 | 同じ建物で同じ日に診た人数 | 20分以上 | 20分未満 |
|---|---|---|---|
| 歯科訪問診療1 | 同じ建物で同じ日に診た人数1人のみ | 20分以上1,100点 | 20分未満1,100点 |
| 歯科訪問診療2 | 同じ建物で同じ日に診た人数2人以上3人以下 | 20分以上410点 | 20分未満287点 |
| 歯科訪問診療3 | 同じ建物で同じ日に診た人数4人以上9人以下 | 20分以上310点 | 20分未満217点 |
| 歯科訪問診療4 | 同じ建物で同じ日に診た人数10人以上19人以下 | 20分以上160点 | 20分未満96点 |
| 歯科訪問診療5 | 同じ建物で同じ日に診た人数20人以上 | 20分以上95点 | 20分未満57点 |
新設の注7により、歯科訪問診療4・5は、在宅療養支援歯科診療所1・2または在宅療養支援歯科病院の届出がなく、注7の施設基準も満たさない医院では、所定点数(20分未満の点数を含む)の100分の50で算定します(告示C000注7)。施設基準は、次の(1)のどれか1つと(2)の両方です(施設基準の通知 第14の1の3)。
- (1)ア 過去1年間に、歯科訪問診療1または2の算定実績が12回以上
- (1)イ 過去1年間に、患家で療養している患者さんまたは入院患者さんへの歯科訪問診療の実績が6回以上
- (1)ウ 介護老人福祉施設等の定期的な歯科健診への協力、都道府県等の事業への協力、学校歯科医等の業務のいずれか
- (2) 自院の歯科訪問診療の実施状況等を把握できる体制と、他の医療機関や介護保険施設等の担当者に治療内容・治療計画を共有できる体制
注7の施設基準は届出が要りません。通知には「当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はないこと」とあります。同じ建物で1日に10人以上を診る日がある医院は、(1)と(2)を満たしているかを確かめておきましょう。
歯科訪問診療4・5で狙われている算定
施設で多くの患者さんを診る日に、診察を1分か2分だけして、口腔ケアも、訪問衛生士の算定も一緒に重ねる算定の仕方があります。歯科訪問診療4・5の改定は、このやり方をもうやめなさいと言っています。
歯科訪問診療料の診療時間には、あわせて行った訪問歯科衛生指導や歯科衛生実地指導の時間を含めません(通知C000(27))。歯科衛生士が口腔ケアをした時間は、歯科医師の診療時間に数えられないということです。個別指導の確認事項にも、診療時間に指導の時間を含めている例が挙がっています(保険診療確認事項リスト(歯科))。施設での訪問の組み方が、診察1〜2分と歯科衛生士の算定の組み合わせになっていないかを見直しましょう。
管理するための診察で20分
診察するときは、管理するための診察をして、アセスメントをとり、次のような処置で20分を満たす診察をします。令和8年度の点数表での名前は次のとおりです。
| 診察で行う処置 | 点数表の名前(区分) |
|---|---|
| SPT | 点数表の名前(区分)歯周病継続支援治療(I011-2) |
| バイオフィルム除去 | 点数表の名前(区分)口腔バイオフィルム除去処置(I030-3) |
| 根面う蝕管理 | 点数表の名前(区分)根面う蝕管理料(B000-12)・フッ化物歯面塗布処置(I031) |
| 義歯調整 | 点数表の名前(区分)歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」(H001-2) |
20分は次のように数えます。
- 同じ日に同じ患者さんへ複数回訪問したときは、合計した時間(通知C000(1))
- 診療前の準備、診療後の片付け、患者さんの移動、あわせて行った訪問歯科衛生指導の時間は含めない(通知C000(27))
カルテには、実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訪問先名、歯科訪問診療の際の患者さんの状態等を記載します(通知C000(28))。根面う蝕管理料では説明した内容の要点を(通知B000-12(2))、歯科口腔リハビリテーション料1では調整または指導内容等の要点を(通知H001-2(1))、それぞれカルテに書きます。開始時刻と終了時刻は、実際に診療した時刻を記録しましょう。
歯科衛生士の算定の直前だけの診察をやめる
口腔衛生管理や居宅療養管理指導を算定する直前に、1分か2分口を見て「はい、これ指示ね」とする診察も、やめなさいという方向性です。そういう診察はやめて、歯科衛生士を単独で行かせるべき時は、単独で行かせる方向にしないといけません。
医療保険の訪問歯科衛生指導料(C001)で、歯科衛生士が単独で訪問するときの要件は次のとおりです。
- 歯科訪問診療を行った歯科医師の指示に基づくこと(告示C001注1)
- 歯科訪問診療料を算定した日から1月以内。歯科医師が状態が安定していると判断した場合は2月以内(通知C001(1))
- 実地指導の時間が20分以上(告示C001注1)。単なる日常的口腔清掃等のみは算定できない(通知C001(1))
- 歯科医師はカルテに、歯科衛生士等に指示した内容、指導の実施時刻、訪問先名、訪問した日の患者さんの状態の要点等を書く(通知C001(10))
- 歯科衛生士は、主治の歯科医師に報告し、患者さんに提供した文書の写しを出す(通知C001(11))
歯科訪問診療と同じ日に行ったときは、訪問先名と患者さんの状態の要点の記載を省いてよいとされています(通知C001(10))。単独で訪問した日は、この2つもカルテに書いておきましょう。
まとめ 確かめること
- 同じ建物で1日に10人以上を診る日がある医院は、注7の施設基準の(1)と(2)を満たしているか(届出は不要)
- 歯科医師の診察は、管理するための診察で20分を満たしているか
- 歯科衛生士の指導の時間を、歯科医師の診療時間に入れていないか
- 歯科衛生士の算定の直前だけの1〜2分の診察になっていないか
- 歯科衛生士が単独で訪問するときは、歯科訪問診療から1月(安定していれば2月)以内で、指示した内容をカルテに書いているか
出典
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示(令和8年)別表第二 歯科診療報酬点数表 C000・C001・B000-12・H001-2・I011-2・I030-3・I031
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項 C000・C001・B000-12・H001-2
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号)第14の1の3
- 保険診療確認事項リスト(歯科)令和7年度改訂版
- 疑義解釈資料 その1〜その13(令和8年9月25日まで)
この記事を書いた人
三輪 俊太
Ihana訪問歯科グループ 代表
- 歯科医師
- 日本補綴歯科学会専門医
- 日本老年歯科医学会認定医
- 日本在宅医療連合学会会員
大阪大学歯学部卒業、同大学院博士課程修了。義歯・栄養・多職種連携を専門に、Ihana訪問歯科グループで訪問診療にあたっています。歯科医療者向けの教育事業(IhanaAcademy)を主宰し、学会・研修会での講演も行っています。