訪問口腔リハの算定要件|対象・20分・包括と歯リハ3との違い
三輪 俊太歯科医師公開 2026.10.15
この記事で分かること
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(訪問口腔リハ・C001-5)は、摂食機能障害か口腔機能低下症のある通院困難な患者さんに、歯科医師が管理計画に基づいて1回20分以上の指導管理をしたときの点数です。令和8年度の改定で点数は変わっていません。
- 対象の患者さんと、カルテに残す根拠
- 20分・実施時刻・月1回以上の訓練などの算定の条件
- 包括されて別に算定できないものと、同じ月に算定できない管理料
この記事では、算定の条件と、個別指導で指摘されないためのカルテ記載をまとめていきます。
点数と対象の患者さん
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| 10歯未満 | 400点 |
| 10歯以上20歯未満 | 500点 |
| 20歯以上 | 600点 |
月4回まで算定できます(告示C001-5注1)。対象は、歯科訪問診療料を算定した通院困難な患者さんで、口腔疾患があり、次のどちらかに当たる人です(通知(1)(2)(4))。
| 対象 | 中身 |
|---|---|
| 摂食機能障害 | 中身摂食機能療法の対象となる患者さん。イ 発達遅滞、顎切除・舌切除の手術、脳血管疾患等の後遺症で摂食機能に障害がある/ロ 内視鏡下嚥下機能検査か嚥下造影で嚥下機能の低下が確認でき、摂食機能療法の有効性が期待できる |
| 口腔機能低下症 | 中身口腔衛生状態不良・口腔乾燥・咀嚼機能低下・舌口唇運動機能低下・咬合力低下・低舌圧・嚥下機能低下の7項目のうち3項目以上 |
どちらの病名で算定しているかと、その診断の根拠をカルテに残しておきましょう。確認事項リストには、摂食機能障害・口腔機能低下症の患者さんに当たらないのに算定している例が挙がっています。
算定の条件
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 開始時の評価 | 内容全身の状態・口腔の状態・口腔機能のうち必要な評価と、歯周病検査(無歯顎者を除く)をする | 出典通知(3) |
| 管理計画 | 内容計画の要点を診療録に書くか、管理計画書の写しを添付する。2回目以降は変更があったときに要点を書く | 出典通知(3) |
| 同意と説明 | 内容患者さん等の同意を得て、管理計画の内容を説明する | 出典通知(1) |
| 時間 | 内容歯科医師が1回20分以上 | 出典告示注1・通知(1) |
| 毎回の記録 | 内容指導管理の実施時刻(開始と終了)と、内容の要点を診療録に書く | 出典通知(11) |
| 訓練 | 内容月1回以上は、摂食機能障害か口腔機能低下症に対する訓練を含む指導管理をする | 出典通知(15) |
| 効果判定 | 内容定期的な口腔機能評価(摂食機能評価を含む)で効果を判定する | 出典通知(11) |
| 歯周病検査 | 内容有歯顎者は1回以上。ポケットが測れなければ、歯肉の発赤・腫脹と歯石の沈着で評価する。無歯顎者は口腔粘膜を評価する | 出典通知(12)(13) |
確認事項リストと東海北陸厚生局の個別指導の指摘には、計画の要点の記載が無い例、開始時の評価が無い例、20分以上実施していない例が挙がっています。令和7年度の共同指導でも、管理計画の要点を診療録に書いていない例が指摘されました。開始と終了の時刻は、歯科医師が指導管理をした時間として毎回書いておきましょう。
訪問口腔リハ20分に義歯調整10分を足すと、30分の診療時間が要ります。現実的に不可能な時間設定は、トラブルや個別指導での指摘の元になります。
管理計画は、歯の計画、義歯の計画、口腔機能の計画、口腔衛生の計画のように分けて、それぞれどのような計画を立てるのかを書いておくとよいでしょう。
別に算定できないもの・できるもの
| 扱い | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 所定点数に含まれる(算定した日以降) | 中身歯周病検査・歯周病部分的再評価検査・口腔細菌定量検査1・歯周基本治療・歯周病継続支援治療・在宅等療養患者専門的口腔衛生処置・機械的歯面清掃処置・口腔バイオフィルム除去処置・摂食機能療法(歯科訪問診療以外で行うものを除く) | 出典告示注2・通知(19) |
| 同じ月に算定できない | 中身歯科疾患管理料・口腔機能管理料・歯科特定疾患療養管理料・歯科疾患在宅療養管理料・小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料 | 出典告示注3 |
| 別に算定できる | 中身口腔機能低下症の患者さんの口腔細菌定量検査2・咀嚼能力検査1・咬合圧検査1・口腔粘膜湿潤度検査・舌圧検査 | 出典通知(4) |
| 別に算定できる | 中身歯周ポケットに特定薬剤を使ったときの歯周病処置と特定薬剤料 | 出典通知(18) |
確認事項リストには、算定した日以降に歯周病検査や歯周病部分的再評価検査を別に算定している例が挙がっています。
開始する前に、歯周病検査を含む歯周病の治療か、口腔細菌定量検査1を含む口腔バイオフィルム感染症の治療をしている患者さんは、算定できません。ただし、その治療を始めた後に摂食機能障害か口腔機能低下症の訓練等が必要になった場合は算定できます(通知(20))。切り替えるときは、訓練が必要になったことをカルテに書いておきましょう。
歯科口腔リハビリテーション料3との違い
| 訪問口腔リハ | 歯科口腔リハビリテーション料3「2」 | |
|---|---|---|
| 点数 | 訪問口腔リハ400〜600点・月4回まで | 歯科口腔リハビリテーション料3「2」50点・月2回まで |
| 対象 | 訪問口腔リハ摂食機能障害か口腔機能低下症 | 歯科口腔リハビリテーション料3「2」口腔機能管理料か歯科疾患在宅療養管理料を算定する患者さん |
| 歯科疾患在宅療養管理料 | 訪問口腔リハ同じ月に算定できない | 歯科口腔リハビリテーション料3「2」算定していることが前提 |
訪問口腔リハを算定した月は、歯科疾患在宅療養管理料と口腔機能管理料を算定できません(告示C001-5注3)。歯科口腔リハビリテーション料3「2」の対象は、この2つのどちらかを算定する患者さんです(告示H001-4注2)。
訪問口腔リハと、歯科疾患在宅療養管理料+歯科口腔リハビリテーション料3を、同じ月に両方算定することはできません。
加算
| 加算 | 点数 | 出典 |
|---|---|---|
| 口腔管理体制強化加算 | 点数+75点 | 出典告示注4・通知(5) |
| 在宅療養支援歯科診療所加算1/2・在宅療養支援歯科病院加算 | 点数+145点/80点/145点(口腔管理体制強化加算とはどちらか一方) | 出典告示注5 |
| 在宅歯科医療連携加算1・2 | 点数+100点(管理計画の作成・変更時に1回) | 出典告示注6・注7・通知(6)(7) |
| 在宅歯科医療情報連携加算 | 点数+100点(月1回) | 出典告示注8・通知(9) |
在宅療養支援歯科診療所加算は、歯科訪問診療料に付く同じ名前の加算とは点数が違います。
現場で間違えやすいところ
間違いで一番多いのは、指導の時間が20分未満になっていることです。開始と終了の時刻で20分以上になっているかを確かめてから算定しましょう。
まとめ 算定する前のチェックリスト
- 摂食機能障害か口腔機能低下症の病名と、診断の根拠がある
- 開始時の評価と歯周病検査(有歯顎)があり、計画の要点を書いた
- 開始前に歯周病の治療をしていない(している場合は、訓練が必要になったことを書いた)
- 歯科医師の開始・終了の時刻で20分以上
- その月に訓練を含む指導管理をした
- 同じ月に歯科疾患在宅療養管理料・口腔機能管理料などを算定していない
- 算定した日以降に、包括される検査や処置を別に算定していない
出典
- 診療報酬の算定方法 別表第二 歯科診療報酬点数表(令和8年度改定)C001-5・H001-4
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項 C001-5
- 保険診療確認事項リスト(歯科)令和7年度改訂版(ver.2507)
- 令和7年度に実施した特定共同指導・共同指導における主な指摘事項(歯科)
- 東海北陸厚生局 令和6年度 個別指導における主な指摘事項(歯科)
この記事を書いた人
三輪 俊太
Ihana訪問歯科グループ 代表
- 歯科医師
- 日本補綴歯科学会専門医
- 日本老年歯科医学会認定医
- 日本在宅医療連合学会会員
大阪大学歯学部卒業、同大学院博士課程修了。義歯・栄養・多職種連携を専門に、Ihana訪問歯科グループで訪問診療にあたっています。歯科医療者向けの教育事業(IhanaAcademy)を主宰し、学会・研修会での講演も行っています。