歯科口腔リハビリテーション料3を訪問で算定する要件【令和8年】
三輪 俊太歯科医師公開 2026.10.14
目次 7
この記事で分かること
歯科口腔リハビリテーション料3(歯リハ3)の「2 口腔機能の低下を来している患者の場合」は、外来の口腔機能管理料だけでなく、訪問の歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)を算定する患者さんでも算定できます。この記事では、訪問で算定するときの条件と、個別指導で指摘されないための記録をまとめていきます。
- 歯リハ3の点数・対象・回数
- 名前が似た在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料との関係
- カルテに書くことと、個別指導で指摘される点
- 指示が通らない患者さんに行う指導・訓練と、その記録
歯リハ3の点数と対象
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | 内容H001-4「2 口腔機能の低下を来している患者の場合」(「1」は18歳未満の口腔機能の発達不全) |
| 点数・回数 | 内容50点・月2回まで(1口腔につき) |
| 対象 | 内容B000-4-3口腔機能管理料か、C001-3歯科疾患在宅療養管理料を算定する患者 |
| 中身 | 内容管理計画に基づき、口腔機能の回復または維持・向上を目的に行う指導・訓練 |
| 同じ日に算定できない | 内容H001摂食機能療法 |
(告示H001-4注2・注3・通知H001-4(2))
指導・訓練は、日本歯科医学会の「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和8年3月)を参考にします(通知H001-4(2))。同じ日に有床義歯等の調整・指導をしたときの歯リハ1、顎関節症の指導・訓練をしたときの歯リハ2は、別に算定できます(通知H001-4(3)(4))。
訪問では「歯在管を算定する患者」が対象
歯在管は、口腔衛生状態不良・口腔乾燥・咀嚼機能低下・舌口唇運動機能低下・咬合力低下・低舌圧・嚥下機能低下の7項目のうち3項目以上に当たる在宅等療養患者に、口腔機能の回復または維持・向上を目的に管理を行うときに算定します。このとき、口腔細菌定量検査2・咀嚼能力検査1・咬合圧検査1・口腔粘膜湿潤度検査・舌圧検査は別に算定できます(通知C001-3(3))。
令和6年の疑義解釈では、次の2つが示されています。令和8年の疑義解釈で廃止されていません。
- 介護保険の居宅療養管理指導費(歯科医師)を算定し、歯在管を算定したとみなされる患者(通知C001-3(14))も、歯リハ3の対象に含まれます(令和6年その10問4)
- 口腔機能低下症と診断して歯在管で口腔機能管理をしている患者さんは、口腔細菌定量検査2・咀嚼能力検査1・咬合圧検査1・舌圧検査を算定していなくても、歯リハ3を算定できます(令和6年その10問5)
みなしで算定するときは、居宅療養管理指導費を算定した旨と直近の算定日をレセプトの摘要欄に書きます(通知C001-3(14))。
Ihana訪問歯科グループでは、訪問で口腔機能低下症と診断するときも、基本的に7項目の検査を行います。
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料との関係
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(訪問口腔リハ・C001-5)は名前が似ていますが、別の点数です。
| 歯リハ3(H001-4「2」) | 訪問口腔リハ(C001-5) | |
|---|---|---|
| 部 | 歯リハ3(H001-4「2」)第7部 リハビリテーション | 訪問口腔リハ(C001-5)第2部 在宅医療(指導管理料) |
| 歯在管との関係 | 歯リハ3(H001-4「2」)口腔機能管理料か歯在管を「算定する患者」が対象 | 訪問口腔リハ(C001-5)算定した月は、歯在管・口腔機能管理料などを別に算定できない |
(告示H001-4注2・C001-5注3)
訪問口腔リハを算定する月は歯在管を算定できないので、その月に歯在管を前提にする歯リハ3をどう扱うかを、院内で決めておきましょう。
Ihana訪問歯科グループでは、歯在管と歯リハ3は合わせて算定できるものとして扱い、訪問口腔リハを算定する月は歯リハ3を算定しません。訪問口腔リハの月も同じ内容の指導・訓練をしているので、その内容を訪問口腔リハの記録に書きます。
カルテに書くことと、個別指導で指摘される点
歯リハ3を算定した日は、指導・訓練内容等の要点をカルテに書きます(通知H001-4(5))。
| 指摘の例 | 出どころ |
|---|---|
| 管理計画に基づく指導・訓練をしていない | 出どころ保険診療確認事項リスト |
| 指導・訓練内容等の要点を書いていない | 出どころ保険診療確認事項リスト・令和7年度の特定共同指導・共同指導 |
| 要点が画一的、または不十分 | 出どころ保険診療確認事項リスト |
| 口腔機能管理料か歯在管を算定する患者に当たらない | 出どころ保険診療確認事項リスト |
| 月に3回以上算定している | 出どころ保険診療確認事項リスト |
記録では、患者さんごとに、低下している項目とその日に行った指導・訓練を書き分けます。歯在管の管理計画には、口腔機能の状態や必要に応じて実施した検査結果の要点等を含めます(通知C001-3(2))。
Ihana訪問歯科グループでは、歯リハ3を算定する診断の根拠と治療計画を歯在管の管理計画に書き、歯リハ3の日はその日のリハの内容を書きます。
月2回しか訪問しない患者さんでは、2回とも歯リハ3を算定できるように、診察の内容を考えておく必要があります。3回以上訪問する患者さんでは、どの回で算定するかを、アポの詰まり具合なども考えながら決めておきましょう。
指示が通らない患者に対して 歯リハ3の訓練内容
通知が歯リハ3に求めているのは、管理計画に基づく口腔機能に係る指導・訓練と、指導・訓練内容等の要点の記載です(通知H001-4(2)(5))。患者さん本人が行う訓練か、術者が行う受動的な手技かの区別や、手技の指定はありません。
「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和8年3月)では、口腔機能管理を患者さん本人と家族に対して行い、指導は患者さんだけでなく家族や介助者に対しても行い、患者さんと介助者の理解を得るとしています(4・5(3)(4))。病態に基づいた患者教育・指導(別添6①)を基本に、個別的訓練(別添6②)を合わせて行います(5(3))。
| 中身 | |
|---|---|
| 別添6① 患者教育・指導 | 中身患者さんや家族等に対する口腔ケアの指導、水分補給の指導・含嗽指導など |
| 別添6② 個別的訓練や個別的指導の例 | 中身口腔乾燥の欄に唾液腺マッサージ。ほかに嚥下体操・開口訓練・頭部挙上訓練・嚥下おでこ体操・可動域訓練など |
(「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」別添6)
別添6②は「例」として挙げられたもので、間接訓練に当たる手技も入っています。受動的な手技でよいと明記した通知・疑義解釈はなく、受動的な手技を除くとした記載もありません(通知H001-4・保険診療確認事項リスト・令和6年と令和8年の疑義解釈)。
Ihana訪問歯科グループでは、低下している項目に対応させて管理計画に書いたうえで、受動的な手技・間接訓練(筋刺激訓練・可動域訓練〔ROM〕・ガムラビング・バンゲード法・唾液腺マッサージなど)も歯リハ3の訓練として行います。あわせて、家族・介助者への指導(別添6①)を組み合わせます。
指示が通らない患者さんには、術者が動かして行える可動域訓練(ROM訓練)系の手技を基本にしています。低下している項目ごとに、次の手技を使います。
| 低下している項目 | 手技 | 何を・どう行うか | 「基本的な考え方」との対応 |
|---|---|---|---|
| 口腔乾燥 | 手技唾液腺マッサージ | 何を・どう行うか耳下腺・顎下腺・舌下腺のある所を、術者が皮膚の上から指で押し、さすります | 「基本的な考え方」との対応別添6②の口腔乾燥の欄にある |
| 口腔乾燥 | 手技保湿 | 何を・どう行うか口腔保湿剤を、舌・頬の内側・口蓋などの粘膜に塗ります | 「基本的な考え方」との対応別添6②の口腔乾燥の欄に「含嗽・口腔保湿剤の指導」がある |
| 口腔衛生状態不良 | 手技舌などの粘膜の清掃 | 何を・どう行うか舌・頬の内側・口蓋の粘膜を、術者が舌ブラシやスポンジブラシで清掃します | 「基本的な考え方」との対応別添6②の口腔衛生状態不良の欄に「舌ブラシ等を用いた舌の清掃指導」がある。5(3)に、口腔乾燥がある場合は口腔保湿剤を併用した口腔清掃方法を指導するとある |
| 低舌圧・舌口唇運動機能低下 | 手技頬や舌の可動域訓練(ROM訓練) | 何を・どう行うか舌を前や左右に、頬を内側から外へ、術者が動かして伸ばします | 「基本的な考え方」との対応別添6②の舌の運動機能の低下の欄に「可動域訓練」がある(5(3)では口唇や舌の運動範囲の拡大が目的)。頬の可動域訓練の記載は無い。低舌圧に当たる舌の筋力の低下の欄は、抵抗訓練と舌圧の機器を使う訓練 |
| 咀嚼機能低下・咬合力低下 | 手技開口訓練 | 何を・どう行うか咬筋の緊張を和らげる目的で、術者が下あごを下へ動かして口を開けます | 「基本的な考え方」との対応5(3)の咀嚼機能の低下に「開口訓練」の名前がある(別添6②では嚥下機能の低下の欄)。手技の中身の記載は無い |
| 咀嚼機能低下・咬合力低下 | 手技咬筋マッサージ | 何を・どう行うか頬の外側の咬筋(かむと硬くなる筋肉)を、術者が皮膚の上から指で押し、さすります | 「基本的な考え方」との対応記載は無い |
| 嚥下機能低下(EAT-10) | 手技食事姿勢 | 何を・どう行うか食事のときの座り方、ベッドを起こす角度、頭の位置を確かめ、家族・介助者に伝えます | 「基本的な考え方」との対応別添6には無い。5(5)の生活指導に「食具や姿勢などの食事環境」がある |
| 嚥下機能低下(EAT-10) | 手技頸部の可動域訓練(頸部ROM) | 何を・どう行うか術者が頭を支えて、首を前後・左右に倒し、回します | 「基本的な考え方」との対応記載は無い(別添6②の嚥下機能の低下の欄は、嚥下体操・開口訓練・頭部挙上訓練・嚥下おでこ体操・嚥下の直接訓練) |
(右の列:「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」5(3)(5)・別添6②)
家族・介助者への指導では、「無理のない範囲で、継続的に行うことが大切」と伝えています。
間接訓練は、H001摂食機能療法にも含まれます。摂食機能療法の対象は摂食機能障害の患者さん(発達遅滞・脳卒中等の後遺症によるもの、または内視鏡下嚥下機能検査・嚥下造影で嚥下機能の低下を確かめたもの)で、1回30分以上行い、実施した時刻を記載します(通知H001)。歯リハ3と同じ日には算定できません(告示H001-4注3)。
個別指導では、指導・訓練内容等の要点を書いていないこと(保険診療確認事項リスト・令和7年度の特定共同指導・共同指導)と、要点が画一的または不十分なこと(保険診療確認事項リスト)が指摘されています。指示が通らない患者さんでは、その日の要点は次の4つに分けて書きます。
| 書き分けること | 中身 |
|---|---|
| 低下している項目 | 中身管理計画で訓練の対象にした項目 |
| その日の訓練 | 中身その日に行った手技の名前(受動的な手技も、低下項目と対応させて) |
| 反応 | 中身その日の患者さんの反応 |
| 家族・介助者への指導 | 中身誰に、何を指導したか(別添6①) |
まとめ 算定する前のチェックリスト
- その月に歯在管(またはみなし)か口腔機能管理料を算定している
- その月に訪問口腔リハを算定していない
- 月2回まで。同じ日に摂食機能療法を算定していない
- その日の指導・訓練内容等の要点をカルテに書いた
出典
- 診療報酬の算定方法 別表第二 歯科診療報酬点数表(令和8年度改定)H001-4・C001-3・C001-5
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項 H001-4・C001-3
- 疑義解釈資料の送付について(その10)(令和6年7月11日)
- 日本歯科医学会「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和8年3月)
- 保険診療確認事項リスト(歯科)令和7年度改訂版(ver.2507)
- 令和7年度 特定共同指導・共同指導(歯科)における主な指摘事項
この記事を書いた人
三輪 俊太
Ihana訪問歯科グループ 代表
- 歯科医師
- 日本補綴歯科学会専門医
- 日本老年歯科医学会認定医
- 日本在宅医療連合学会会員
大阪大学歯学部卒業、同大学院博士課程修了。義歯・栄養・多職種連携を専門に、Ihana訪問歯科グループで訪問診療にあたっています。歯科医療者向けの教育事業(IhanaAcademy)を主宰し、学会・研修会での講演も行っています。