訪問歯科衛生指導料の算定要件と令和8年の点数|20分・書類
三輪 俊太歯科医師公開 2026.10.12
この記事で分かること
訪問歯科衛生指導料(C001)は、歯科医師の指示で歯科衛生士等が訪問し、20分以上の実地指導をしたときの点数です。令和8年度の改定で、単一建物診療患者が1人の点数は上がり、10人以上は下がりました。特別の関係にある医療機関等の患者さんには140点が新設されています。
- 令和8年の人数別の点数と、特別の関係の140点
- 算定の条件(指示・1月以内・20分・月4回・1日15人)
- 文書と診療録に書くことと、個別指導で指摘される例
この記事では、算定の条件と、個別指導で指摘されないための記録の残し方をまとめていきます。
令和8年の点数
| 区分 | 令和8年 | 令和6年 |
|---|---|---|
| 1 単一建物診療患者が1人 | 令和8年380点 | 令和6年362点 |
| 2 単一建物診療患者が2人以上9人以下 | 令和8年330点 | 令和6年326点 |
| 3 1・2以外(10人以上) | 令和8年260点 | 令和6年295点 |
| 特別の関係にある他の医療機関等の患者(注4) | 令和8年140点 | 令和6年—(新設) |
| 複数名訪問歯科衛生指導加算(1のみ・注3) | 令和8年+150点 | 令和6年+150点 |
10人以上は1人あたり35点の減算です。注4の140点は、1〜3の所定点数に代えて算定します(告示C001注4)。
特別の関係にある医療機関等の患者さんは、外来と同じと考えて、処置を中心に進めることになります。それでも、点数に関わらず、ケアが必要な人にはケアを入れていく必要があります。
算定の条件
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 誰が | 内容歯科訪問診療をした歯科医師の指示を受けた、その医療機関に勤務する(常勤・非常勤)歯科衛生士・保健師・看護師・准看護師 | 出典告示注1・通知(1) |
| 何を | 内容口腔内の清掃(機械的歯面清掃を含む)、有床義歯の清掃指導、口腔機能の回復・維持に関する実地指導。単なる日常的口腔清掃等のみでは算定できない | 出典告示注1・通知(1) |
| 時間 | 内容20分以上。実際に指導した時間で、準備や患者さんの移動の時間は含まない | 出典告示注1・通知(8) |
| いつまで | 内容歯科訪問診療料を算定した日から1月以内(状態が安定していると歯科医師が判断すれば2月以内) | 出典通知(1) |
| 回数 | 内容月4回まで。緩和ケアの患者さんは月8回まで | 出典告示注1・注2・通知(2) |
| 1日の上限 | 内容歯科衛生士1名につき原則15人まで。非常勤は所定労働時間の比で按分 | 出典通知(6) |
| 同じ月 | 内容歯科衛生実地指導料(B001-2)は算定できない | 出典告示注6・通知(12) |
| 同じ日 | 内容口腔機能実地指導料(B001-2-2)は、その指導をすれば算定できる | 出典疑義解釈 令和8年その2 問6 |
口腔機能実地指導料は施設基準の届出が要る点数です。同じ日に算定するときは、届出もあわせて確かめておきましょう。
確認事項リストには、1月(安定なら2月)を超えている例、緩和ケアでないのに月5回以上の例、指導時間に準備や移動を含めている例、歯科訪問診療料の診療時間にこの指導の時間を含めている例が挙がっています。直近の歯科訪問診療料の算定日と、診療とは分けた指導の開始・終了の時刻を確かめてから算定しましょう。
単一建物診療患者の数え方
人数は、その建物に住む人のうち、同じ月にその医療機関が訪問歯科衛生指導料を算定する人の数です。注4の140点で算定する人は数えません(通知(3))。
| 場合 | 数え方 |
|---|---|
| ユニット数が3以下のグループホーム | 数え方ユニットごとに数えられる |
| 病院 | 数え方病棟ごとに数えられる |
| 同じ世帯に対象の患者さんが2人以上 | 数え方それぞれ「1人の場合」 |
| 指導する患者さんが建物の戸数の10%以下 | 数え方それぞれ「1人の場合」 |
| 20戸未満の建物で、指導する患者さんが2人以下 | 数え方それぞれ「1人の場合」 |
確認事項リストには、人数の区分の誤り、人数が変わった理由を診療録に書いていない例、人数の記載の誤りが挙がっています。月ごとの人数を確定し、変わったときは理由を診療録に残します。
複数名訪問歯科衛生指導加算
「1 単一建物診療患者が1人」のときに、同じ医療機関の歯科衛生士等が同時に訪問して指導した場合の加算です(告示C001注3)。
- 150点。注4の140点の場合も加算できる(通知(5))
- 歯科訪問診療料を算定する日は不可。患者さんか家族等の同意が要る
- 対象:開口保持ができない、人工呼吸器・気管切開、身体的理由で1人では困難など、通知(7)イ〜リの状態
- 必要性は前回訪問時の状況等から判断する(通知(7))。直近の訪問が歯科衛生士だけの訪問だったときは、歯科医師が前回の状況と歯科衛生士の報告等を踏まえて判断する(疑義解釈 令和6年その1 問20)
- 診療録に、複数名が必要な理由を書く(通知(10)ニ)
確認事項リストでは、「1人の場合」以外・歯科訪問診療料の算定日・病院や施設への訪問・対象の状態に当たらない患者さんでの算定が、算定できない例として挙がっています。
文書と診療録に書くこと
| 何を | 誰が | 出典 |
|---|---|---|
| 指導内容、実施時刻(開始と終了)、療養上必要な事項、指導した歯科衛生士等の氏名(複数名なら同行した全員)を書いた文書を患者さん等に渡し、内容を説明する。写しを診療録に添付する | 誰が歯科衛生士等 | 出典告示注1・通知(9) |
| 診療録に、イ 指示した内容、ロ 指導の実施時刻(開始と終了)、ハ 訪問先名(指導を始めた日と変わったとき)、ニ 訪問した日の患者さんの状態の要点等を書く。歯科訪問診療と同じ日なら、ハとニは省略できる | 誰が歯科医師 | 出典通知(10) |
| 主治の歯科医師に報告し、患者さんに渡した文書の写しを出し、業務記録を作る | 誰が歯科衛生士等 | 出典通知(11) |
文書の歯科衛生士の氏名は、名字だけでも構いません(疑義解釈 令和8年その2 問7)。
確認事項リストでは、上の表のどれかが無い例のほかに、文書の内容が実態と異なる例、診療録や文書の記載が画一的な例も指摘されています。その日の指導内容と患者さんの状態は、患者さんごとに書き分けておきましょう。
文書の書式は、Ihana訪問歯科グループでは現在、歯科医師会の書式を主に使っています。
個別指導では、毎回同じ内容の記載が続くと指摘を受けます。歯、義歯、機能、食事と、指導する観点を回によって変えて書くことが大切です。また、文書には他者をおとしめる内容を書かないことで、関係を良好に保てます。
現場で間違えやすいところ
よくある誤りは、歯科衛生士が単独で訪問した日に、スケーリングやSRPを算定してしまうことです。
まとめ 算定する前のチェックリスト
- 診療録に指示の内容がある
- 直近の歯科訪問診療料から1月以内(安定なら2月以内)
- 指導の開始・終了の時刻で20分以上
- 月4回以内(緩和ケアは8回以内)・同じ月に歯科衛生実地指導料が無い
- その月の単一建物診療患者の人数が確定している
- 文書を渡し、写しを添付した
- 主治の歯科医師への報告と業務記録がある
出典
- 診療報酬の算定方法 別表第二 歯科診療報酬点数表(令和8年度改定)C001
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項 C001
- 疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年4月1日)
- 疑義解釈資料の送付について(その1)(令和6年3月28日)
- 保険診療確認事項リスト(歯科)令和7年度改訂版(ver.2507)
この記事を書いた人
三輪 俊太
Ihana訪問歯科グループ 代表
- 歯科医師
- 日本補綴歯科学会専門医
- 日本老年歯科医学会認定医
- 日本在宅医療連合学会会員
大阪大学歯学部卒業、同大学院博士課程修了。義歯・栄養・多職種連携を専門に、Ihana訪問歯科グループで訪問診療にあたっています。歯科医療者向けの教育事業(IhanaAcademy)を主宰し、学会・研修会での講演も行っています。